松井宏之〜現代陶芸家列伝/備前焼

松井宏之さんは森陶岳一門として、新大窯プロジェクトに参加しつつ、独自の陶境を目指して相生市の自工房に於いて日々研鑽に励む備前焼の陶芸家です。




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2012年04月18日(Wed)
松井宏之〜現代陶芸家列伝/備前焼
兵庫県相生市「備前焼」松井宏之の備前焼による「松井宏之 陶展」

松井宏之(まつい ひろゆき)
 
美空ひばりの歌声の魅力は、
類い稀な音の『ゆらぎ』にあると聞いた。
普通の人なら10Hz程度のゆらぎが何倍にもなり、
しかも全体として見事に調和するという。
焼物も然り。大窯には、
小窯にはない大きな炎のゆらぎがあるように思う。
それが美しい焼物へと調和するには多大の困難があるが、
達成できた時には人を魅了してやまないと信じている。
森一門の大窯プロジェクトに参加していることを誇りとし、
日々作陶に励んでいる。
 松井宏之
(天満屋美術部創部80周年記念
森陶岳 壷中展/森陶岳 一門展 図録より引用)

森陶岳一門として新大窯プロジェクトにも参加しつつ、兵庫県南西部に位置する相生市の自工房に於いて、登り窯で備前焼の器と花入れを作陶する陶芸家 松井宏之(まつい ひろゆき)さんの作陶展が、ぎゃらりー小川にて2012年4月16日から21日まで開かれました。この機会に松井宏之さんの人と作品をご紹介したいと思います。

松井さんは野村證券に勤務し、国際金融を長く担当したという変り種。一念発起し、退社後、岡山県立備前陶芸センターに研修生として入所、一年間の研鑽を積み、森陶岳先生に五年のあいだ師事しました。現在は森陶岳一門として新大窯プロジェクトに参加しつつ、平成20年の初窯後は独自の陶境を目指し、日々制作にいそしんでこられました。

備前焼は釉薬を一切使わずに焼成される焼き締め陶だけに、「焼き」とともに「作り」も重要です。
「作り」は板づくりと紐づくりが主。目指すところが使いやすい日常の器だけに、厚みも限度まで薄くして扱いやすさを大事にしています。そして形はシンプルでシャープなラインと、スタイリッシュなフォルムが魅力となっています。
次に「焼き」のことへも言及しないわけにはいきません。
焼成は松脂を含んだ赤松を主に使います。ガスや電気ならセーブしやすい炎も、薪ともなれば、おいそれとはいきません。それだけに美妙なる天の配剤とでもいうべき「ゆらぎ」が生まれ、薪の灰が胡麻の味わいとなり、さらにそれが融けて自然の釉薬となって土肌を彩るのです。
それは薪の炎だけが作り得る恵みといえましょう。
素焼をしないまま生の状態で窯詰めされた器は、窯のなかで14日のあいだゆっくりと、そしてじっくりと、炎の力をもらって丈夫で美しい備前焼へと育ちます。
窯焚はそれほどの大仕事。年に一度しかできないわけですね。

今回の個展に出品された器のなかで、ひときわ目を引くのが白い備前焼。
白い備前の器は松井さんの師匠である森陶岳先生が、いまから約20年ほど前に発表。
同じ備前土を使いながらも、炎の当て方で色を工夫するモダンな備前焼です。
堅く焼き締まっていながらも手触りが柔らかく、「土」を感じる風合いの素晴らしさは無論のこと、クリーム色のニュアンスが使い手の気持ちまでほぐしてくれるはず。使い込むごとに風合いを増す備前焼の魅力を味わうためにも是非、手にして頂きたい器だと思います。

さて松井さんが師事した森陶岳先生は、古備前の魅力に迫る焼き物を作るためには、大窯での焼成が必要不可欠だという作陶方針を持って、エネルギッシュに活動している陶芸家です。
1985年、森陶岳は寒風(岡山県)の地に、安土桃山の時代にならった半地下直炎式の全長53メートルの大窯を築き、焼成を始めました。森陶岳をしてこれほどまでの巨大な窯づくりへと駆り立てた古備前の魅力とは何なのでしょう?
それは淡い艶肌のしっとりとした質感と、侘びた佇まい(たたずまい)にあります。
松井宏之さんの作品から、いにしえの古備前が偲ばれるのも正に師匠ゆずりといえましょう。
好きこそ物の上手なれの言葉通り、永年の夢を叶えた松井さんの個展会場からは、新たな文化が花ひらいた織豊時代の颯爽とした息吹が感じられるようです。

松井宏之 陶展の記事はクラフト小川ぎゃらりー小川の公式サイトにも掲載中。

松井宏之 陶展を動画でご紹介


【 作  品 】


備前焼 松井宏之 寒風大窯 鶴首蕪 税込価格¥120,000
径23×高さ27cm


備前焼 松井宏之 扇皿 税込価格¥7,000
31.5×19.5×高さ3・5cm


備前焼 松井宏之 すり鉢 税込価格¥15,000
20.5×18.5×高さ8cm


備前焼 松井宏之 寒風大窯 花入 税込価格¥90,000
径12×高さ22.5cm


備前焼 松井宏之 丸鉢 税込価格¥15,000
径25×高さ7cm


備前焼 松井宏之 瓢箪プレート 税込価格¥4,000
25×12×高さ0.5cm


備前焼 松井宏之 菓子器 税込価格¥18,000
径16.5×高さ7.5cm


備前焼 松井宏之 秋刀魚皿 税込価格¥5,500
32×12×高さ3cm


備前焼 松井宏之 ビアマグ(白) 税込価格¥4,000
径8.5×高さ15cm


備前焼 松井宏之 ハート皿 税込価格1枚につき¥3,500
15×14×高さ2.5cm


備前焼 松井宏之 長葉皿 税込価格¥6,000
42×8.5×高さ5cm


備前焼 松井宏之 手桶花入 税込価格¥35,000
18.5×15×高さ17cm


備前焼 松井宏之 ビアマグ 税込価格1個につき¥3,500
径8.5×高さ10.5cm


備前焼 松井宏之 寒風大窯 花入 税込価格¥100,000
径11.5×高さ21cm


備前焼 松井宏之 半月プレート 税込価格¥7,000
30×15×高さ1.7cm

 

松井宏之

【 略 歴 】
昭和35年6月 兵庫県相生市に生まれる
昭和54年3月 淳心学院高校(姫路市)卒業
昭和59年3月 上智大学 外国語学部英語学科卒業
昭和62年3月 同大学院 国際関係論専攻修了
昭和62年4月 野村證券入社、国際金融部配属
平成 4年3月 外務省アジア局へ出向、APEC担当(2年間)
平成12年3月 野村證券退社


【 陶 歴 】
平成12年 4月 岡山県立備前陶芸センターに研修生として入所
平成13年 4月 森陶岳に師事 森陶岳一門の新大窯プロジェクトに参加(継続中)
平成17年 1月 寒風の森陶岳大窯、第5回焼成に参加(66日間)
平成18年 4月 独立、相生に直炎式登窯の築窯開始
平成20年 4月 相生にて初窯焼成
平成20年 5月 初窯開き
平成20年 8月 新大窯完成、空焚に参加
平成20年11月 森陶岳一門展(瀬戸内市文化祭特別企画展)に出品
平成21年 5月 第2回窯焼成、窯開き
         古民家の常設ギャラリー開設(相生市)
平成21年11月 アトリエ・ヒロにて個展(大阪市淀屋橋)
平成21年11月 第39回全陶展入選
平成21年11月 天満屋倉敷店にて森陶岳一門展に出品
平成22年 2月 第4回現代茶陶展入選(織部の日記念事業)
平成22年 7月 第3回窯焼成、窯開き
平成22年 8月 山陽百貨店にて個展(姫路市)
平成23年 1月 寒風大窯第6回焼成に参加(60日間)
平成23年 7月 天満屋アルパーク店(広島)にて森陶岳一門展
平成23年10月 第26回国民文化祭(京都)陶芸部門入選
平成23年11月 20メートル直炎式登窯焼成
平成23年12月 東京銀座OS画廊にて個展
平成24年 1月 大阪アトリエ・ヒロにて個展


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《プロフィール》 昭和32年東京赤坂に生まれる。都立九段高等学校卒業。昭和52年東京学芸大学教育学部入学。美術科を専攻。故橋本次郎先生に彫塑を、橋本堅太郎先生(前 日展理事長)に木彫と彫塑を師事。昭和58年大学院教育学研究科修士課程を修了する。中学校教諭一級普通免許及び高等学校教諭二級普通免許を取得。昭和57年4月より昭和59年3月まで東京学芸大学付属小金井小学校にて講師を勤める。平成3年、家業である有限会社クラフト小川の代表取締役に就任。現在に至る。現住所は東京都墨田区。家族構成は家内と長男と長女。愛読書は吉村 昭の小説と随筆(最近では“闇を裂く道”に感銘!)。それと吉田秀和の評論集。愛聴盤には4大B(バッハ・ベートーヴェン・ブラームス・ブルックナー)とヴェルディ・プッチーニのイタリアオペラが多い。好きな曲はフランクのヴァイオリンソナタ。
社団法人 日本彫刻会会員
社団法人 太平洋美術会会員

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